↓の続き(前半)

前エントリの続き。あれから今もTwitter検索を使って記事の反応を追い続けてる。色々なキーワード条件でもって現在進行形。5タブくらいは常時稼働中。どんどんツイートを拾ってきてくれるんで飽きることがない。面白い。超面白い。
また似たような記事が出たら更に熱気を帯びそうな感じだなぁ。というのも、いちいち集計してる訳じゃないんだけども、例えばツイートが10あれば、その2〜3は「数値に無理あるんじゃないか」「鵜呑みにしちゃダメだよね」「自分のを調べたら何か違うんだけど…」みたいなツッコミ・疑いツイートが入ってくると自分は思ってた。けど全然そんなことはなく。ツイートが100あれば、3〜4はあるかな?って印象。Twitterでの反応は、受け止め方の温度差あれど「テレビはエアコンの1.7倍の電気食い!」というコピーが市民権を得ているようで、「テレビ消せばエアコンオッケーオッケー!」な解釈も多く見られる。テレビ叩きしたい人達なんかは特にキャッキャ(拡散)してる感じ。…これは夏の大停電あるで!!!



酒の肴として楽しんでばかりってのもズルいので、自分なりの根拠は出しておかなければならないのかもしれない。ただまぁ反証されているエントリがもう既に出ているんで蛇足だけども…。では火元な週刊ポストの記事について。ポイントは2つ、

  • エアコンは期間消費電力量、TVは定格消費電力で比較したふしぎ
  • 42V型テレビに限ったふしぎ

一つ目、要するに条件は揃えましょう。強引に例えれば「年間(期間)消費電力量は実測値、定格消費電力は理論値」なので定格消費電力を持ち出すのは間違い。年間消費電力基準を両者に用いて比較しなくてはならない。さてテレビの年間消費電力量、簡単に調べられる。マニュアルの仕様欄に載ってるんで。型番でググってもOKかな? テレビの年間消費電力は「1日4.5時間見た場合の年間消費電力量」とルールで決められているので、逆算すれば実測値に近い数字が出せます。そしてそれは定格消費電力よりもずっと低い値*1。だが週刊ポストは、定格消費電力が数百W〜1000超Wなエアコンに対してはこの年間(期間)消費量から逆算した消費電力を用いた一方、テレビにはそれをしていない。簡単に出来るのにね。何でだろうね? そんなこんなで、アンフェアな比較は使い物にならないということ。そしてこれも既出の指摘だが、エアコンの年間(期間)消費電力は「冷房期間=6月2日〜9月21日の期間に27度の設定で、6:00〜24:00の18時間運用した場合の消費電力量」なので、この期間には外気温が27度を超えない時間帯が多く含まれ、最高気温が27度を超えない日さえも含む。年間消費電力で比較することでさえ、エアコンに有利も有利すぎるデータであることを考慮しなくてはならない。
二つ目、テレビそのものに関して。野村総研がテレビの消費電力を「220W」とした根拠は本当に謎で困るんだ。それこそ定格で算出していたのならアホという他ないのだが、それでも数値として高め。もしかすると「テレビは1人1台」と言われる昨今なので、複数台消した場合の数値なのかもしれない。仮に1台で*2220Wに相当する年間消費電力量のテレビというのは、40インチ台でも220W以上をキッチリ消費してくれるプラズマを考慮しても*3、非LEDかつ非エコ時代な液晶を考慮しても、50インチを超えるものが想定されてしまう。ま、NRIの人達ってエリートでリッチだろうし、そんなテレビが一般的なのかもしれないー(棒読み)。ところで、国民生活センターが「貴方の家にある一番大きなテレビは何インチ?」という調査をテレビ所有者に対して行っていた*4。それによれば、26インチ未満が8.7%、26〜32(26・32)インチが33.3%、33〜42(37・40・42)インチが45.1%、43インチ以上は13.1%。このデータから「家のリビングにある」平均サイズを求めるのであれば37インチが妥当に思える。市場でのJEITAの出荷データ・BCNのPOSデータからは26〜32インチがずっと主流だ。しかし週刊ポストは42インチを持ち出しただけでなく、全ての視聴者が42インチで見ているという設定&先述の定格消費電力を使って、全国のテレビ視聴による電力の総消費量を算出しているふしぎ*5



以上は週ポに対して。しかしテレビ叩きしてヨイショされたい彼らはともかく、野村さんにそんな下心はないだろう。しかし詳細が曖昧なせいで悪意に手を貸した格好か。やっぱ野村総研って肩書きは効いちゃうよねー。次は他の記事について。これらは「テレビがエアコンよりも電気使う」という根拠として利用されているのをTwitterのタイムライン?でちょくちょく見る。要するにデマの拡散を助けているのが現状です。これも2つ。

  • 秒刊SUNDAYのふしぎ
  • デジマガのふしぎ

まずは前者。あー、このサイト(湯川)が過去にどういう炎上をやらかしてるか知っていれば気構え出来るはずだが…。で、こちらはテレビの代表としてプラズマを用い、プラズマが液晶よりも電気喰う仕様、世の中のテレビの大多数は液晶であることの補足が一切ないという、知っててやってる様な記事。さらにコメントやブコメで指摘されてるが、測定機器に表示されてる時間は夜10時。そりゃエアコン頑張る必要ないよねっていう。これも補足なし。やっぱり分かっててやってるんだろうな。湯川は絶対に許さんからな。
次は後者、時系列では週ポよりも古い記事なので、これが本当の火元だったのかな? まずは野村総研のデータで「テレビはエアコンより電気喰う」な記事を最初にまとめており、その後に連荘でVoiceというMBSのニュース番組で放送されたキャプ画を使って「ほら、エアコンは実質80Wしか電気喰わないんですよ」という二段構成。後の記事には「先日の記事で指摘を受けて〜」とあるが、どうも見越して演出したキナ臭さがあるなぁ………なんて思ってたんだけど、関連記事に野村総研の節電ネタに関する切込隊長の記事があったので見てみたんだよね。そしたらこちらの日付がデジマガより古……古い? え、何これ、隊長が火元だったの?w あー隊長は野村ヲチャーだからこのネタを拾えたと。って何やってんだ…。まぁいいや。このデジマガの記事はポストノムケンよろしく、MBSのVoiceが報道していたという引用で説得力を底上げしてるっぽい。その為か、ツイートなんか見る分には湯川のよりも重用されているようだ。重用されてる割には、その記事に「どういった条件なのか分かりませんが」とあるように、肝心の測定条件が全く分からないという困った話だ。ただ、Voiceのキャプ画の右上に「見える化」というお題があるんだけども、これは「スマートコンセント」という富士通が開発した消費電力測定器を京都大学と一緒に研究しているというニュースなんです。そして、これがVoiceで放送されたのは2011年6月14日なんだな。撮影や編集の手間を考えると当日収録していたとは考えにくいので、前日6/13以前の大阪の最高気温を調べると、13日が25.2℃、12日が24.9℃、11日が24.5℃。これらの日に収録(計測)していたのならとんでもないことであるのは言うまでもない。6月のうち4、6、8、9日は27℃を何とか超えているものの、あくまで最高気温。天気も曇りがちで日射による温度上昇も期待できない条件だ。そんな日にエアコンを27℃の設定で使えば低い消費電力を計測できるのは当然。最早どのメーカーの何という機種とか、どこで行われたとか、そういった考慮さえ無用となるレベル*6。そしてデジマガ、(キャプ画を拾った時に)それ分かってたんじゃないのかなぁ?


以上、杜撰な根拠に基づいた記事でしたということ。「テレビが報じない真実」だって? そりゃ報じないでしょ、あるある大事典だもん。それに野村総研の提言にしても「テレビを消そう」ではなく、「節電行動が高まっていないエアコンを節電すべき」なんだから。あーでもねー、もしテレビ業界が原発推進したいなら節電させない為に報じちゃうかもね。いやその前に政府が人気取りしつつ原発推進させる一石二鳥で輪番停波させるのが理に適ってるか。そらそうよ。しっかし、あんな記事を担ぐ人達に限って「テレビはバカを産む洗脳装置」「都合の悪い真実を報道しないテレビ業界」「害悪なテレビは節電のために停波しよう」「ネットで正しい情報に触れて賢くなろう」なんてのを、鏡見ずにインターネットで言ってたりするんだね。どっちが害悪なんだろ*7。極め付けは、アイコンが日の丸だったりの国士様にこそ大人気ってことだわー。国士様ちょろすぎ。お前ら売国奴じゃねーか。この辺や節電については後半で。

*1:だいたい6割強になるはず

*2:というか比較するのなら1台同士でなくてはならないんだけど

*3:プラズマのシェアはもうね…

*4:調査期間は2012年2月、サンプルは約2000

*5:もう一つ言えば、"全国でない"東電の最大供給量を比較に持ち出してテレビ視聴の総消費量を大きく見せるふしぎ

*6:こういう時は真夏日を想定して設定温度を余分に下げておくもんです

*7:拡散してるだけに余計