頑張れ09世代

凱旋門賞ナカヤマフェスタが大健闘の2着。「これやっちゃうんじゃないの?」と夢見てしまう流れだった。こういう場合、普通は狂気乱舞するんだろうけど、その時の感情が困惑だったのはナカヤマフェスタを象徴するものかもしれない。しかしああ勝ってしまうのだから流石英ダービー馬、「これが格だよ」といったところ。ヴィクトワールピサもレース内容を考慮すれば十分に健闘していたのではないでしょうか。前哨戦同様、「もう少し軽い馬場なら…」と思わなくはないけど*1。今後どうするのか分からないけど、もう来年のドバイか香港に備えて休んだ方がいいんじゃないのかな?


さて勝ったナカヤマフェスタ、そして09世代な彼。09世代と言えば、おそらく市井的には最弱世代の有力候補ってとこなんじゃないかと*2。何で? そりゃあクラシックホースがそれぞれ、精神崩壊&引き篭もり&即故障引退。これではそんな評価に結び付くのも無理ない。あの東京優駿も今では「農耕優駿」「田んぼダービー」などと揶揄される始末で。とは言え、個人的にあのダービー、あれこそが「神ダービー」だと信じて疑わないのがこの自分。
以前のエントリーにも書いた様に、素晴らしい内容だっただけに今後への不安も綴った*3。特に先行で押し切った3頭に対しては。その不安は正しかったのだろうか、勝ったロジユニヴァースはガタガタになっちゃったし*4、2着のリーチザクラウンは故障さえしなかったものの、ローテが示す様に迷走状態でG1を獲れる資質を腐らせており、3着のアントニオバローズに至っては体を壊して最終的には亡くなるという、散々なその後である。そして何より地獄絵図を演出したジョーカプチーノ、あのロジユニヴァースさん(牡4歳)が真面目に見えるほど彼こそが引き篭もり状態なのである。一応、彼はG1ホースですよ? しかし世間的には「ロジ篭り」な訳で、忘れ去られて死亡説すら出ないという有様だ。アプレザンレーヴアイアンルックもここでタフな競馬をした事が後々の故障に響いたとも考えられる。皐月賞アンライバルドは地獄絵図によって精神を崩壊してしまったと自分は考えている。とにかく、代償の大きかったダービーだった。


そんな地獄をくぐって今日まで無事に来れたのがナカヤマフェスタだ。ダービー後の菊花賞は奮わなかったものの、翌年は宝塚記念を勝つという大出世で09世代の牡馬を引っ張る存在になった。宝塚記念はその鞍上からして十数年に一度のフロックなんて言われたものだが、凱旋門賞での健闘で誰もフロックなんて言わなくなるだろう。しかしまぁ彼がここまで成長する様になるとは思いもしなかった。ナカヤマフェスタ狂信者の方でもここまでは想像しなかったと察する。いやー、さすが成長力に定評のあるステイゴー…いやいやディクタス×ダイナサッシュの血が成せるものなんだろうね*5。勝ち馬ではなかったものの、あのダービーからこれほどの馬が出てきてくれた事は本当に嬉しい。いつも以上に熱を入れクラシックを見てきた甲斐があったというものだ。ということで、あの地獄を経験したからこそナカヤマフェスタは今回のロンシャンを好走できたと思うようにします。JRA及び造園課の方々、これで分かったでしょう? 世界に勝つにはスピードじゃなくてパワーなんだ。そしてパワーありきのスピードと瞬発力なんだ。こんなことを言うのは、ナカヤマフェスタジャパンカップに凱旋出走したものの「パンパンの良馬場で惨敗」なんてことがありませんようにという願掛けである。つまりそこが不安点だ。
さて、ロジユニヴァースが再びスイッチを入れようとしている今、09世代は危機に直面していると言えるでしょう。ナカヤマフェスタだけではあまりにも寂しい秋戦線なのだから。その為にも他の期待馬には本当に頑張って欲しいと願う。まずは朝日CCがまずまずの結果だったベストメンバー。故障で離脱するまでのクラシック戦線の内容は見るところがあった。復帰には手間取ったがこの秋に飛躍を期待したい。そして朝日CCと言えば何よりもアドマイヤメジャー。川田というタガが外れる今こそがチャンス、自分はアグネスタキオンが大嫌いだけど君だけは期待するよ! アンライバルド屈腱炎により長期休養している為に年内復帰は難しい。だがその時間の長さは彼の精神を立て直す事になるはずだ。リーチザクラウンマイルCSで有力な一頭だろうか。フォゲッタブル有馬記念が絶好の条件なので一発を期待したい。ネタ的なところでは小田切馬のアラシヲヨブオコトの復帰を喜びつつ、是非ともシャアに頑張ってもらおう。未勝利を勝ちきれない甘さから愛嬌が生まれたんだけど、まさかの準OPで好走するまでに成長。貴重なツルマルボーイ産駒としても注目したい。個人的な隠し玉はマイネルシュトゥルム。角田騎手を追ってた時に知った馬で、後々大きい舞台でやれる資質を持ってると感じた一頭。その後コツコツ勝ち上がって確信は深まっている。今は怪我してるみたいだけど無事に復帰して欲しいな。ロードアイアン、サトノエンペラー、ヒカルマイステージ、ピサノカルティエ、アドマイヤショット、この辺りも怪我で離脱をしている期待馬たち。特にアドマイヤショットはデビュー前から評判の良かった馬。2戦2勝のあと長期休養に入っていて、その2勝目はジャミールに楽勝したものだから能力は相当なもの。彼らが無事に復帰してくれたなら順調に出世して古馬戦線を賑わせてくれると信じている。あと金沢競馬にいるジャングルスマイル*6が気になるね! 白山大賞典がいい内容だったし中央に戻ってくるかもしれない。血統的に天皇賞春目指すのが1番だと思うなー。


川田クンに言及したついでにスプリンターズS(エス)なんですけども、いやー凄かった。ハマッた面もあったのかもしれないけど、あのゲート出てからのスピードには圧倒された。ウサイン・ボルトみたいに格が違った。流石スプリント最強国、あの国で揉まれるからこそ「スッと感」ってのが育つんでしょうか? 鞍上が変に後方気にしてたのには観戦してる方としては笑うしかない訳で。乗ってる本人がビックリしてたんじゃないかと。その後「ハナには拘らないよ?」といった感じで抑えるのに他馬はそれに合わせちゃったので、残り4Fくらいは「条件馬でも勝てる内容じゃんwww」な糞レースでした。しかしそれを演出したのはまさにウルトラファンタジーなスピードによるもので。「グリーンバーディーはポカするな」と思ったら案の定だったんだけど、でも苦しい流れからしっかり詰めてるので、やっぱり香港馬は強いなぁと思う次第。まぁ何ていうか「ローレルゲレイロ老いたなぁ」「佑ちゃん、だからGⅠ獲れないんだよ」「川田ありがとう」といったレースでした。ちなみに09世代なサンカルロは3着。仮に不利が無くても2着が精一杯だったでしょうね。やはりこの馬どこか一枚足りない。

*1:血統的にロンシャンではスタミナ&パワー不足だと思ってるので

*2:牝馬やダートは強力なのだけれど

*3:オークスで燃え尽きる」なんて言葉が実際にあるのだし

*4:そもそもテキが悪いという指摘に異論はないです

*5:サッカーボーイが本当に凄い種牡馬でもあるので

*6:近親にマンハッタンカフェ