今さら高校生クイズの件

今年の高校生クイズ(爆死)に関しては何か書こうと思って考えてたんだけど、やる気スイッチが入らなくて書いてなかった。しょうがないよね。だけど先日放送された頭脳王をきっかけに今更書こうかと思った、でもやっぱり迷ってた、スイッチ入んないもん。そしたら頭脳王の視聴率が14%台だったのことで、やる気スイッチ入りました。再生産してみようと思う。ただ個人的に今は有馬記念の検討からリソースを割く気がないので雑に。まぁ、書きたいことは高校生クイズの展望で基本チラ裏である。しかし書かずにはいられない。だって頭脳王の視聴率が14%を超えたんである。

  • 「だから頭脳王って何?」

日テレのクイズ番組である。クイズ番組としてはガチの部類に入り、難度も高い。義務教育レベルを超えている問題ばかりなので、プライムな時間帯にお茶の間に届けるようなものではない。普通はお茶の間がついて行けず冷めるだけだ。出演者*1は芸能人ではなく東大京大なエリートな素人さん。そういう意味でもガチである。「知力・体力・時の運」という格言がクイズ界隈にはあると思うが、この番組は基本的に知力のみが問われる。

当初の高校生クイズは「知力・体力・時の運」というコンセプトの下、ガチとバラエティのバランスを取るスタンスだった。この企画は成功し、毎年の恒例番組にまで定着した。しかし長く続いたことでマンネリだったのか視聴率が伸び悩むようになり、10%を切る年さえ出てくるようになった。そこで数年前に今回の頭脳王の様なガチスタンスで開催というイメチェンをされた。つまり問題は難しく、知力のみが問われるので「頭が良く、知識豊富で、クイズ部やってます」そんな子が頂点に立てる様に構成されていた。なぜこの方向性でのイメチェンだったのかと考えると、「全国高等学校クイズ選手権と謳っていながら、何でガチのクイズ大会じゃないんだ」というシンプルな声に応えたのではないかと思う。実際、00年代半ばはクイズ番組が増加していた頃で、クイズヘキサゴンは言うまでもなく、Qさまの様な比較的ガチ系の番組さえも成功しており、当の全国高等学校野球選手権大会では田中マー君ハンカチ王子の激闘があった。ガチシフトは不可避であった様に思う。
さて、このイメチェンによって番組の視聴率は10%を軽く超えるようになったのは勿論、17%を超える年も出た。どうみても大成功なんである。このままで行くかと思われたが、2013年からは「原点回帰」というコンセプトの下に大きなイメチェンが再び図られた。その結果、出題される問題は小学校レベルで簡単、やたら体力を使わせ、運の要素も多く取り入れられた。このイメチェンは放送前からニュース記事を発端として掲示板やSNSでもそこそこ話題になり、多くは歓迎されていた…というよりこれまでのガチ路線への批判で花咲いたw 「学歴で荒れる」に定評のあるネットだからだろうか? そもそもの「伝統?路線で視聴率低迷したからガチ路線へのテコ入れだった」という経緯は無視されていた風ではあった。ま、しょうがないね(諦)
その新Verで放送がされると、その視聴率は前回の10.9%から8.9%の減少、過去最低クラスの視聴率で大失敗である。これは見事な爆死もしくはブーメランと言うことで、ネットで自虐祭りになるかと思ったら、そんなことはなかった。なんでや!つごうわるいんか! ただまぁ実際に自分が視聴した限り、あまりに酷すぎる構成や内容だったので、この視聴率悪化が純粋にガチ路線からの転換によるものかは断定できなったのよね*2。そこの半信半疑なところは今回のガチ路線の頭脳王が十分な視聴率を獲得したことでスッキリ。やはり路線変更は悪手だったと言わざるを得ないと思う。

  • 「どうして原点回帰()なんぞやった」

既に語り尽くされてますが、偏に予選の参加者減および過疎化に尽きるのでしょう。団塊ジュニア以降の急激な少子化という不可避トレンドがあったものの、ガチ路線の結果、多くの平凡な高校生、いやそれなりのレベルの高校生にとっても、高校生クイズが近寄れない存在となってしまい参加しなくなった&それを受けた現場スタッフからの声、公式スポンサーであるライオンも黙っていられなかったのは容易に想像が付きます。
その一方で、ネットなどで指摘される要素の一つにガチ路線の視聴率低下(飽きられ)があるのだけど、これは全く違うというのが自分の考えで。確かにガチ路線最後の年の視聴率は10.9%と、その昨年の15.7%から大きく下がっています。しかしこれは放送日が8/31という夏休み期間であった為だと思われる訳です。宿題に追われている学生が少なくなかっただろうし、夏休み最後くらい遊びたいという学生も少なくないはず。実際、裏番組も視聴率も芳しくない様で、フジは震災特番を組んでいたので計りかねるが、レギュラー番組だと、毎回12〜3%の安定した視聴率を獲得してくるTBSの金スマがこの日は9.0%と、珍しく一桁視聴率。となると夏休み最後の日*3というのは視聴率を獲り難い日なのかもしれない。しかしそれ以上に高校生クイズの場合、夏休み中の放送では「高校生クイズに参加した」という口コミが機能しなかったんじゃないかな? 自分の高校時代を振り返ると「クラスメイトが高校生クイズに出ていた」を知ったのは二学期始まってからで、「途中まで行けたしテレビ映ってるでー」みたいなことを教えてもらえたものだった。勿論、それは地方予選の話であるが、こういうやり取りが番組に対しての親近感や導線を産むのではないかなと。それが無かった昨年はしんどかったと思います。おそらく9月放送であれば12〜15%の数字は出せていただろうし、来年以降もこの路線を継続すれば数字が保証されることは局側も分かっていただろう*4。それでも路線変更せざるを得なかったのは前述の通りであり、また原点回帰と程遠く捻じ曲がった路線変更になったのは、過去の路線も失敗している以上、「戻れない」のだから、彼らは「全く新しい高校生クイズ」を作らざるを得なかったのだと思う。しょうがないよこれは。

  • 「もうだめなのか」

そんなことはない。ただ「割り切ってやれるか」かと。ガチ路線に回帰すれば一定の視聴率は今後も確保できるだろう。しかし参加者や出場校は減少し固定され、昔の華やかさは無くなる。しかし割り切ってしまえばそれはそれで熱い展開を作ることが出来るだろう。「なんかすげー」でいいのよ。じゃなきゃガチ路線時代や頭脳王の好視聴率は何なのという話で。まぁ個人的に頭脳王でも感じのは、決勝戦を2チームにするのは止めた方が良い。3チームにしてトーナメントに余裕を持たせることが望ましい。また、難問揃いの中にスパイスとして日テレならマジカルシャウトであった似た者三択の様なひっかけ問題、とにかくジョーカー的な問題*5を入れればメリハリ付くし、視聴者を引き込む要素になるやろね。そしてそんな問題もアッサリ答えるインテリこそ本当にカッコええんや(コロンビア)
一方、ヌル路線を継続するならばこちらも割り切っていくしかない。今のままでは視聴率は取れそうにない、これはどうにかしなければならない。また、ヌルいから一般の高校生が参加したくなる、という時代でもないように思えるので、これもどうにかしなければならない。つまり番組を見た一般の高校生が参加したくなるような要素を含ませて視聴率も稼がなければならない。少なくとも今回で処方箋とされた海外ロケ路線は大失敗だった。中途半端なアメージングレース*6で予算の無駄遣いであった。こうなると処方箋としては、芸能人起用、特にアイドルの起用しかないのではないか。ひな壇で喋らせるのではなくクイズそのものに参加させるの、もちろん現役高校生のアイドルを。通しでの起用は難しいので、準々決勝の特別ルール*7という風なら可能だろう。ヌル路線であればアイドルでも戦力になれるだろうし、最近は大所帯なアイドルグループが多いからAKBからの起用さえも容易いはず。何つったってゴールデンの2〜3時間の特番への出演なんだからさ。そりゃジャニーズを使えれば最高だけど…そこまでは望まない。芸人さんだと現役高校生ではないので参加出来ないが、出題側に回ることは出来るはず。さらに出題or回答ルールにスポーツの要素を取り入れるなら、著名な選手をゲストに呼ぶのもいい。そうして番組内でハイタッチやハグが行われる、それはテレビを見る一般の中高生にとって魅力になるだろうし、ヌル路線ならその舞台に自分が行くことに現実味が出てくる。多分、このパターンしか解決出来ないんでねぇの? 日テレのスタジオ内での完結であれば海外ロケ敢行するより予算少なくて済むかもしんないしさ。
個人的には今後もヌル路線で行ってもらいたいです。頭脳王は頭脳王として続くのだろうし、緩急が付いてよろしいかと。ハブられるガチ勢は他所の局が取りに行くんでしょう。ま、あれだわ、日テレはクイズ番組の制作力を向上させなきゃな。マジカルのヌルリメイクなんて悲劇でしかなかった訳で、ヌル方面で下手連発中な現状って不安なんである。

*1:というより出場者か

*2:それでも批判の勢い的に、この内容でも前回超えかもしれんと思ったものだが…

*3:かつ最後の週末

*4:彼らはプロだ。分析くらい朝飯前だろう

*5:シンプルになぞなぞでもいいよね

*6:アメリカのテレビ番組。詳細はググって、どうぞ

*7:助っ人?サポーター?